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大阪梅田のザ・フェニックスホールからのお知らせです。
こんにちは。お邪魔させていただきます。
ラトヴィア共和国など旧ソ連の共和国で、かつて生まれていた作品にスポットをあてる
珍しいコンサートが2月2日(土)夕、大阪・梅田のザ・フェニックスホールで行われます。
ピアノのヴァディム・サハロフやヴァイオリンの久保田巧、チェロの山崎伸子といった、
表現の極みに到達した名手が渾身の力で「秘曲」の数々を奏でます。
公演は、「『環バルト海』 “周縁”から“グローバル”へ~ソ連崩壊後の音楽史断章」
と題したレクチャーコンサート(お話と生演奏を組み合わせた公演)。20世紀、資本主義国
アメリカに対抗する社会主義国家の「盟主」として君臨したソ連。ヴァイオリンのオイス
トラフやピアノのギレリス、リヒテルといった巨匠演奏家を国家として養成する一方、
社会主義の理念に合わないと判断した作品や音楽家を、強く弾圧したことが知られています。
スターリン政権が天才ショスタコーヴィチに加えた抑圧はとりわけ有名で、昨年亡くなった
友人でチェロ奏者のロストロポーヴィチは、こうした状況をきびしく告発し続けました。
公演では、環バルト海諸国をはじめ、首都モスクワ以外の周縁地域にルーツを持ち、
抑圧の中で西欧の音楽情報を探り、創作を続けた作曲家を取り上げます。たとえば、
ヴォルガ側沿岸で生まれたアルフレート・シュニトケ。新ウィーン楽派の音楽をはじめ、
西洋の音楽のスタイルとロシア音楽の伝統とを併せ持つ作風で、今では比較的西側でも
知られています。しかし、アゼルバイジャン出身のアリ=ザデ、キエフのシルヴェスト
ロフ、そしてバルト海ラトヴィア出身のペレツィスといった、今回取り上げられる人々
の作品はこれまで、生で聴く機会が殆どありませんでした。
出生地の土俗的な音楽の影響を示す民族主義的な側面と、国外で公演する演奏家などを
通じ密かにもたらされた、当時の西欧の現代音楽手法を取り入れた前衛的な側面とがな
いまぜになった独特の作風。それが彼らの音楽を特徴づけています。
演奏に名手を迎えました。ピアノは、モスクワ音楽院でロシア・ピアニズムの伝統を受
け継ぐゴルノエステヴァやスタニスラフ・ネイガウスに師事、クレーメルやヨーヨー・
マとの共演でも広く知られるヴァディム・サハロフ。世界の登竜門ミュンヘン国際をは
じめ数々のコンクールを制覇、清楚な中に正統派の「気骨」を感じさせるヴァイオリン
の久保田巧、故・斎藤秀雄の愛弟子で師譲りの真摯な音楽づくりで定評を持つチェロの
山崎伸子。3人は長年、室内楽に取り組んでおり、一流の演奏で新たな音楽をご紹介します。
講師は愛知県立芸術大学准教授の安原雅之さん。1991年のソ連崩壊時をはじめ、ソ連、
ロシアをしばしば訪れ、研究を重ねてきました。生々しい「時代の証言」と共に音楽と
社会、政治との関係を話します。
公演概要や、講師・安原さんのインタビューをホールのホームページでご紹介していますのでご覧ください。
ホームページを見る。
■日時
2008年2月2日(土)18時開演 (17時30分時開場。終演20時ごろの予定)
■場所
ザ・フェニックスホール(大阪市北区西天満4‐15‐10 ニッセイ同和損害保険株式会社フェニックスタワー内)
アクセス
■入場料
3,000円(全自由席) 学生席1,000円=席数限定 当ホールのみ取扱い
■チケット問い合わせ ザ・フェニックスホールチケットセンター
電話06・6363・7999 (土・日・祝を除く10:00~17:00)
(公演内容の問い合わせは自主企画グループ concert@phoenixhall.jp)