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1987年に結成されたエストニアで最初のインディペンデント・シアターグループであるヴァット・テアテルは、
タリン市内のエストニア国立図書館シアターホールを拠点とし、国内外で幅広く活動しています。
彼らのレパートリーはシェークスピアなどの古典演劇から国内外の若手の劇作家の作品まで、青少年向けのもの
から大人向けまで、バラエティに富んでいます。今までに、ラトヴィア、リトアニア、フィンランド、ロシア、
ウクライナ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、ポーランド、ドイツ、フランス、トルコ、ジンバブエなど、
地球のあらゆる地域での公演を行っています。2005年8月には初来日を果たし、東京、鳥取、北海道で、スイスの
マルクス・ゾナー演出によるエストニア神話「カレヴ王子の大冒険」(原題:Kalevipoeg)を演じました。
この「カレヴ王子の大冒険」は、劇団のメンバーにエストニアを代表する演技派女優カタリーナ・ラウクを加え
たキャスト全員が同じ衣装をつけ、セットは赤い箱が1つだけというシンプルで独創的な演出でした。しかし、
彼らのアクロバティックな動きなど体全体を巧みに使った演技は、観客の想像力を膨らませ、そこにない海や宴
のシーンを舞台の上に作り上げていったのでした。意味はわからなくとも暗闇に響くエストニア語は大変美しく、
観客を魅了しました。
北欧の小さな国から来日した彼らにとって、8月のうだるような暑さと長時間にわたる国内の移動は、
決して楽なものではなかったと思います。それにもかかわらず、もずく、納豆といった日本食にもチャレンジし
たり、酒蔵を見学したり、また地元の方々との交流会ではエストニア民謡やフォークダンスを披露するなど、
日本滞在を100%楽しむことにも一生懸命でした。